飲食店を開業したいという人は世の中多いのではないでしょうか。
よく飲食店といえば、長時間労働、低賃金みたいなイメージを言われることもある業種ですが、それでもいつか自分の店を持ちたいという人は後を絶ちません。
そのくらい魅力的だと思われているのが飲食店です。
。ですが、開業したくても実際、毎年どんどん店が入れ替わり、立ち替わりしているのも事実です。
そんな中でも飲食店を開業して良かった。人生ハッピーと思っている人も多くいるのも事実です。日本人はネガティブな意見や人の不幸な話の方が印象に残るせいか、どうも飲食店は良くない商売だと思われている人が多いようです。
そんな多方面の意見もある中、私は実際に飲食店をはじめ、どのようにしたら利益が残るのか、また今回はとりあえず生活していけるであろう20万円を稼ぎ出すということにフォーカスしてお話ししていきます。誰でも簡単に金儲け出来たら誰でもやってます。とりあえず最初の目標は自分が生活できるくらいの利益をどうやったら残せるのかということだと思います。
飲食店経営で20万円稼ぐことの難易度は?
ずばり即決いたします。簡単です。
もちろん絶対ということは世の中にはないのですし、楽して稼ごうなんて最初から思っていたら厳しいかもしれません。出来るだけ楽して稼ごうと思うことは全く悪ではありません。ただ日本人は人の4倍くらい働いて2倍くらい稼ぐ人が好きな人が多いせいで、それが悪だと思う人がいるのも事実だと思いますが、半分以上は嫉妬だと思っています。
20万円をそこそこの努力で稼ぐことは簡単だと思いますし、楽して稼ぐということもそう難しいことではありません。
それでは例を見ながら話していきましょう。
儲けることは悪ではない!!
まずはじめに儲けることは悪ではありません。もちろんぼったくりとか詐欺のようなものはもちろん悪だと思いますが、真っ当な商売をして儲けることは全く悪ではないのです。まずはこのマインドセットが重要だと思います。
というのも飲食店開業したいという方の中で、かなりの数の人が言うんです。「自分にしか出せない美味いものをできるだけ安く提供したいんです」って。
この気持ち自体はいいことだと思います。でもこの気持ちと儲けるということはしっかり別で考えてください。
しっかり儲けられる範囲で自分のやりたいお店にするのです。私も最初の頃は思っていました。『こんなものをこんな値段で出せるはず!他のお店もこのくらいの値段だし、このくらいお客さんが来ればうちもきっと商売としてやっていける』と。
こう思うことのどこが悪いと言っているかわかりますか?
実はほぼ全部です。
まず第一にあなたの真似したいようなお店があったとして、そこが儲かっているかわからない。
第二にどのお店だって仕入れ努力をしています。あなたが同じものを同じ仕入先から同じ値段で材料を入手できるかわかりません。
そしてこのくらいお客さんがくればというのは理想です。はじめから自分が真似したいお店と肩を並べているという錯覚に陥っています。
ということです。
悪魔でどうやったら儲かるのか他店を分析して、自分に置き換えて自分ならこうやったら儲かるという仕組みを作らなければいけないのです。
まず一番重要なことは設けられる仕組みを考えることです。ですので、儲けることは悪ではないとまず頭に刻み込んだ方がいいです。
さて、それではどうやって儲ければいいのか例を取ってお話ししていきます。
商品価値とは商品のクオリティーだけではない。お店全体の価値である。
居酒屋を例に挙げてみます。
A店は「刺身の盛り合わせ」を「980円」で売っていました。
B店は「刺身の盛り合わせ」を「1980」で売っていました。
入っているものはほぼ同じ、量もほぼ同じ、クオリティーもほぼ同じ、材料費もほぼ同じ、実際に頼まれる出数もほぼ同じという条件だと思ってください。
儲けるという観点でいえばもちろんB店の方が儲かります。
ではなぜそれが可能になるか。
それは上の条件には入っていない、店の雰囲気、接客などのサービス、そして・・・ほぼ同じということがポイントになります。
まず店の雰囲気というものはお店が作るものです。もちろん金をかければ格式の高いお店が出来ます。だからチェーン店など金持ちが有利になるのです。だからといって金のない人が儲けられないということではありません。ただ金持ちの方が有利だという現実は変えられないというだけのことです。金がないのなら違う視点で見て行きましょう。
サービス面に関しても雰囲気と似ているところがありますが、接客態度や、気遣いなんかも関係していますが、これに関して、それなりの人を雇うか、自分自身でコツコツ磨いていかなければいけません。
ですが、本当に伝えたいのはこういったことではありません。
上述したようにほぼ同じというところがポイントです。
ほぼ同じだったとしても少しの違いの積み重なりで一つの商品価値は全然違うものとなってきます。
例えば一番わかりやすいのは盛り付けですね。
これは私が一番簡単にできるおすすめの方法ですが、器にこだわって料理を提供してください。決して安いからこれでいいやというのはダメです。とはいっても一つ何万円もするものを使えということではなく、形が変わっているもの、色がはっきりしているものを選ぶのがコツです。
少し前に流行って盛り付けで言えば、船型の桶盛りだったり、螺旋階段状の木の板に盛り付けするなどです。
器の形はとても重要な要素です。さらにはドライアイスで煙を立たせ、清涼感と豪華さをアレンジしているものも話題になりました。
盛り付けは実際使っている材料は同じでも大きく見えたり、豪華に見えたりするものです。
料理人の当たり前はお客さんの当たり前ではありません。
さらには今日のネタはどこでとれた魚なのかや、何日熟成させたのか、細かく自分達がやっている調理法や仕込みの方法を書くのもとても効果的です。
職人さんなんかはこれくらいして当たり前の仕事だと思っていることでそんなことお客さんに伝えてもみんな知ってるでしょ?と思って何もしない店は本当に多いです。料理人の当たり前はお客さんの当たり前ではないので、自分達はこういうことをしているから美味しいんだとしっかり伝えることが重要なのです。食べればわかると思っている料理人の方もいますが、お客さんにしたら小さなことすぎてわからないことは多いです。それをしっかり伝えることに意味があるのです。
勘違いして欲しくないのはうちのネタは新鮮だから醤油じゃなくて塩で食べてなど、食べ方まで強制させることです。よっぽど一人当たり2万、3万いただくような高級店ならいいですが、料理は最後は好みによるところが大きいです。
自分達がここまでこだわっている。あとはお客さんの好きなように食べてといろんな調味料が用意されている方が確実に好まれます。
悪魔でお客さんに喜んでもらえる方法を常に考えてください。料理人目線だけではダメです。いろんな人がいてそのいろんな人に美味しいと思ってもらえる提供方法は何かということが大事です。
コストパフォーマンスはお客さんが決めるもの
よくコストパフォーマンスがうちの売りですというお店がありますが、はっきりいってその発言は自分よがりの発想です。
これだけ量がいっぱいでこの値段です。というのは耳聞きはいいですが、悪かろう安かろうでは何の意味もありませんし、仕入れの面で言えば大手のチェーン店には絶対に叶いません。だから個人店の場合は安売りはダメです。
コストパフォーマンスはこの値段なのにこんなものが食べれてよかったと思わせることです。
つまりは会計時にこの値段でこの満足感ならよかったと思わせることなのです。
満足感というのは量だけではありません。料理の希少性、料理のおいしさ、店員さんとの会話、店の雰囲気など総合的に作っていくものなのです。
個人店が安売りをすると確実に利益率が悪くなります。儲けるという第1目標がある中で、安売りはするべきではないのです。
じゃあどうやって安売りせずにコストパフォーマンスを上げるの?という話になりますので少し紹介していきます。
まずは上述したように器を変えるとか自分達の努力をしっかりメニューに書くなどして伝えるということがありますね。
その他にはターゲットを細かく絞り込むということもできます。この刺身の盛り合わせはどんな人に食べてもらいたいのか?を考えるのです。そりゃ出来るだけ多くの人にとなってしまうんですが、その中でもこの人が食べたらどうだろう、こんな人が食べたらどうだろうという仮定を色々考えてみてください。
50代2人組が仕事終わりに来た時を考えれば、仕事で疲れているだろうから濃いめの醤油の方が美味しく感じるのではないかとか、青魚を多めに入れようかなとか考えられるわけです。
他にも20代のカップルが来た時を想定すれば、少しオシャレなものがあったら会話が弾みそうだなと考え、トリュフ塩を用意しておいたり、提供時に記念日には特別な料理をご用意できます、など声かけをして、その日の会話を弾ませる手助けになったり、また次の来店への呼びかけにもなります。
このようにターゲットを絞り込み、その人にとってどんなことをすると喜ばれるのかを考えることこそがコストパフォーマンスに繋がります。
利益率を伸ばそう
それでは具体的な数字のお話をしていきます。
その前に、私が飲食店開業することにおいて推奨しているのは小さな店舗です。初めから大きな借金を背負ってやることはリスクも大きいし、しっかりと小さな店舗で儲けられるなと確信してからで全く遅くないと思います。
また、私も40人くらいの客席、いわゆる中規模のお店を展開してわかったことですが、小さな店の方がお客さんとの距離が縮まる確率が高まりますので、そっちの方がやりがいを感じられると思っています。
それでは本題をお話していきます。
今回は私が推奨している小さな店舗、具体的にはスタッフ1〜2人で回せる程度のお店を例にとってお話していきます。客席でいうと10〜20席ほどです。
まずは原価率。
これに関しては色んな本で高い方がいい低い方がいいとか書いてありますが、私は低くすることをお勧めしています。小さな店舗である場合、何回転もさせるのはとても難しいため大きな売り上げを出せないことが多いからです。
特に田舎で商売する場合は確実に原価率を低くしてください。
具体的な数字はというと30%前後です。これは飲食店開業なんかの本に書いてあるマニュアル的な数字ですが、実際、やってみると30%で提供することは難しいということがわかります。ですがこれを実現するのです。
開業するときにはできるだけいいものを安い値段でなんて考えてしまいますが、それではダメです。しっかり上述したように付加価値をつけて30%の原価率にすることを意識した方がいいです。適当にだいたい材料の3倍の値段つけておけばなんて考えていると原価率は簡単に35%になってしまいます。
というのもいつも同じ値段で仕入れられるかわかりませんし、ちょっとしたサービスなんかで簡単に1〜3%くらい変わってしまいます。
次に人件費です。これに関しては小さいお店ならあまり問題ないですが、もし他人を雇う場合、少し忙しいくらいの人でギリギリです。今月は少し売り上げがいいからといって次の月から雇い始めると、痛い目に会う可能性が高いです。あくまでお客さんに迷惑がかからない程度に毎日忙しいなと思うくらいでちょうどいいのです。最初は一人でもいいと思います。一人で頑張っている小さなお店であなた自身がしっかり頑張っていれば、お客さんも協力してくれる人が多いです。むしろそれがまたコミュニケーションになったりもします。
そして家賃と光熱費ですが、これは売り上げによって割合が簡単に変わってしまいます。固定費ですので、できるだけ安くということくらいです。
家賃だけでいうと、都会で15席くらいであれば20万以下、田舎であれば10万以下であるのが望ましいです。光熱費は抑えられることはあまりありません。ただ電気は確実にLEDにしてください。その辺のホームセンターでいいので買ってください。すぐに元が取れてしまいます。
この通りに営業したときに利益はどれくらいなのか。実際に計算してみましょう。
例1)一人で田舎で居酒屋を営業する場合
売り上げ:65万(2.5万/日✖️26日)
家賃:8万
光熱費:6万
人件費:0
原価:195,000
雑費:5万(レンタルマットや消耗品、ゴミ代など)
借金返済:5万
利益:20万5千
ということになります。一日25,000売れば20万手元に残ることになります。
例2)都会で2人でラーメン屋を営業する場合
売り上げ:104万(4万/日✖️26日)
家賃:20万
光熱費:12万(ガス代が高くつくため)
人件費:12万
原価:31万
雑費:5万
借金返済:5万
利益:31万
ということになります。
これらはかなりリアルな数字です。経験した私だからこその数字です。
意外と売り上げこんなもんでいいんだと思った方もいるんではないでしょうか。よく雑誌には飲食店200万円の壁とか聞きますからね。
実はスモールビジネスであればそんなに大きな売り上げはなくてもいいです。
ただ実際には使っている間に何か機材が壊れたり、思わぬ経費がかかってくることも事実です。なので、これ以上の売り上げを目指すことはいうまでもありません。
まとめ
飲食店のリアルな数字、具体的な営業の仕方などをお話してきましたが、大事なことはしっかり儲けつつ、そしてお客様を喜ばせることを考えて日々努力しなければいけないので、簡単とはいうものの怠けていいというものではないと思います。
もちろん売り上げが多く、雇われ店長などを雇ったり、フランチャイズ化するということを目指して自分ができるだけ実動することなく儲けられることを考えることも大事なことです。
ですが、大きくなった人でも最初は小さなところからスタートしている人がほとんどです。
あのスターバックスさえもアメリカの小さなコーヒー豆屋さんから始まっています。
飲食店はお客さんと直接関われるいい仕事だと思っていますので、いい思いをしながら経営できるようになるよう頑張るだけです。